聖ホセマリアの手紙29番(聖ガブリエル職について)概要

聖ホセマリアの手紙29番(聖ガブリエル職について)は、地域総会のテーマを考察するための良い助けとなります。その手紙の概要を掲載します。

この手紙は聖ガブリエル職をテーマとしている。聖ガブリエル職とは、青年期を過ぎ、一般的に結婚の道を歩みたいと感じている人々の間で行われているオプス・デイの使徒職を指す。それはおそらく、今日オプス・デイの使徒職の中で最も広がりを持っている。

聖ホセマリアは、1935年から書き始めた「指針」の4番目に当たる「聖ガブリエル職に関する指針」を書いた1950年、このテーマを詳細に扱った。この「指針」は、スーパーヌメラリの在り方の法的な承認と密接に結びついている。聖座は、スーパーヌメラリが使徒職的活動のために家庭的、社会的な状況が許す限り多くの時間を捧げつつ、神に自らを完全に捧げるという真の召命を認めた。

1950年から1965年にかけて、世界は大きく変化し、社会の急激な変革が目前に迫り、それは人間生活のさまざまな側面、第一に宗教的側面、それに加え道徳的側面や家庭的側面にも影響を及ぼしていた。聖ホセマリアにとって「指針」の中ですでに言及していた聖ガブリエル職の1つの側面を強調することは緊急の課題であり、この手紙ではその側面が強調されている。それは聖ガブリエル職の福音的な地平線は、個人の使徒職を遂行することだけでなく、神から劇的に離れつつある世界(少なくとも西洋において)にキリスト教的影響を与えるという側面である。

この手紙が出た1960年代半ば、聖ガブリエル職は各国で大きな広がりを見せていた。そのような時期にこのような手紙があったことは、スーパーヌメラリを指導したり形成したりしなければならない人々の形成に非常に有用であり、また、この手紙で扱われている多くの側面に関する創立者の教えを彼らに伝えるためにも有用であった。夫婦間の道徳に関する問題をはじめ手紙で扱われているいくつかのテーマについての世論は1950年以降大きく変化し、1966年当時は非常に話題性の高いテーマであった。

手紙における聖ガブリエル職に関する主要なアイデア

聖ホセマリアは手紙の冒頭で、イエス・キリストによってもたらされた救いは、例外なくすべての男女のためであることを説明する。しかし、その贖いは溢れるほど豊かなものであるにもかかわらず、多くの人がキリストを知らず、悪が世に栄えている。「神はキリストの嗣業である地上にご自分の畑を造られた。しかしそこには毒麦も存在する。しかもたくさんの毒麦が 」(3番) 。この現実を前にして、無関心でいるのではなく、イエス・キリストとともに贖罪に参加するよう呼びかけている。練粉の中のパン種のように、ゆっくりと絶え間なく働きかけ、人を神に近づけることが必要なのだ、と聖ホセマリアは言う(1-9番)。

この偉大な使徒職的地平線の文脈の中に、聖ホセマリアは聖ガブリエル職を位置づける(10-15番)。聖ガブリエル職は「世の中のあらゆる活動を超自然的な内容で満たし、それが広まるにつれて、人類の大きな課題の解決に効果的に貢献する」(10a)。これがこの手紙の主眼点である。聖ガブリエル職の影響は、それに参加する人々のキリスト信者としての生活を向上させるだけにとどまらず、個人的な行動の結果として、キリストの命と光で地上の現実とその仕組みを生き生きとさせ、活性化し、照らすことにつながるのである。このセクションにおいて、聖ホセマリアはスーパーヌメラリの召命について述べ、その福音化と変容を促す力を強調する。スーパーヌメラリは、あらゆる社会構造と社会階層に属し、社会の指導的立場から人生の最もささやかな岐路において、人生そのものが提供するあらゆる多様性に基づく様々な使徒職を通して、キリスト教的な影響を及ぼすことのできる人々である。それゆえ、スーパーヌメラリの召命の一部である社会における職業的召命は重要であり、それは教会の他の現実が行う使徒職との違いとなる。

中心部分(16-32番)は、聖性と個人的使徒職との関係を扱うことから始まる。続いて聖ホセマリアはこの手紙の主要テーマを発展させる。つまり、職業的活動と使徒職的活動は、個人の使徒職を実現するためだけでなく、より公正でキリスト教的な社会を築くために融合されるものである。それゆえ聖ホセマリアは、世界を愛するよう、そして人間のあらゆる活動や組織の中に恐れず〈いる〉よう諭している。神の敵を無責任に野放しにすることなく、また同時に、敵対することなく:「私の子供たちよ、私たちの態度は理解と愛のものでなければならない。私たちの行動は誰かに反対するものでもなく、セクト主義的な色合いを帯びることはありません。あふれる善で悪をおぼれさせるのです」。聖ホセマリアは、「すべての人に対しての非常に大きな愛、すべての人の心配と問題に開かれた心、差別も排他主義も知らない広大な理解」(26番)をもって働くよう、また「世界のあらゆる活動をキリスト教化すること、すなわち、キリストを人間のあらゆる活動の頂点に据えること」に努めるよう諭している。

その後、スーパーヌメラリの形成の特徴に光を当てるために、短い章が割かれている(33-37番)。その中で、とりわけ自由が強調されている。それは特定のカリスマの同化においても、また職業的・社会的分野における取り組みにおいても強調される。「私の子供たちよ、自由です」と聖ホセマリアは言う。「オプス・デイが世間的なことについて指示を与えるなどと決して期待しないように」(36番)。各自が、自分の良心に基づいて、その時代の課題に対する最適な解決策を模索するようにと諭している。教会には、聖職者主義に駆られ、この自由を理解も尊重もしない人たちがいると苦言を呈する。

さらに38-42番では、男性、女性のスーパーヌメラリの使徒職の特徴を打ち出している。それは、いわゆる〈教会の仕事〉ではなく、謙遜に行われるべきものであり、市民の義務と権利という領域において実現される(召命は「完全に世俗的な性格」(41番)を持つため)。それゆえ、聖ホセマリアは、道徳的に重要な事柄について人々の生活を形成する市民法の影響力を考慮に入れながら、キリスト教的なパン種として、人間活動や公的生活の中に〈いる〉必要性を再度強調する。

協力者について短い言及をした後(43番)特定の使徒職、例えば、マス・コミュニケーションを通して世論に福音のメッセージを伝えること(44−46番)、娯楽の使徒職、金融や経済・政治のさまざまな分野への介入(47-52番)などに言及する。

最後の部分(53-58番)は、家庭生活と結婚にあて、避妊や離婚などが容認されつつあった時代にあって、夫婦の義務を聖なるものとして生きるための基準を示している。この手紙は、自分自身の神の子としての自覚に支えられながら、与えられた召命に献身するよう諭す結びの言葉で締めくくられている(59-60番)。


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