オプス・デイの組織

属人区長、及びその統治を助けるために各分野にわたって責任を任せられた代理者たちは、オプス・デイにおいて裁治権をもっています。属人区長はオプス・デイに固有な裁治権者です。

現在の属人区長はフェルナンド・オカリス神父です。属人区オプス・デイ本部事務局はローマのViale Bruno Buozzi 73, 00197にあります。

属人区オプス・デイは、教会の一般法の諸規定と使徒憲章「ウット・シット」および固有の規約つまり属人区オプス・デイの固有法によって律せられています。1983年に公布された教会法は、属人区に関する基本的な規定を含んでいます(教会法294-297条参照)。

属人区司祭団を構成する司祭は、法律的に完全に属人区長に従属し、属人区長が指示する司牧活動に携わります。属人区司祭団の目的は、オプス・デイの信者が その使命を日常生活の中で具体化するよう霊的指導にあたることですが、その一方で教区の司牧とも密接に一致し、必要に応じて属人区長の指示により教区の司 牧も助けます。属人区はその司祭団の司祭を経済的に支えます。

オプス・デイの信者は属人区固有の使命に関わる事柄に関してのみ属人区長に従属する、普通の一般市民であり、カトリック信者ですから、市民として法に従い、カトリック信者として教会に従います。

属人区長は女性が構成する女子中央委員会と男性が構成する男子中央委員会の協力を得て指導にあたります。いずれの委員会もローマにあります。

属人区における統治の特徴の一つは、常に連帯的になされるということです。したがって、属人区長とその代理者たちは、信徒が大部分を占める委員会のメンバーと協力して、その役務を果たします。

属人区の総会は、オプス・デイが活動している国々の信者の参加を得て、通常八年ごとに開かれます。総会では、属人区の使徒的事業が検討・研究され、将来の司牧活動の方針を属人区長に提案します。また、属人区長は総会で委員の更新を行います。

属人区内では、その使徒職活動の統治が円滑に行われるように「地域」と称される区域に分けられています。たいていの場合は一つの国に一人の地域総代理がお り、男性のための地域委員会と女性のための地域委員会の協力を得て役目を果たしています。また、国によってはその必要から、さらにいつくかに分割されてい るところもあります。この分割された区域を「代表部」と呼び、それを代表する代理者とそれを助ける男女二つの委員会によって統治されています。また、2、 3の国を一つの「地域」として一人の総代理と二つの地域委員会がオプス・デイの使徒職活動の統治にあたっているところもあります。

最後にローカルなレベルとしてオプス・デイのセンターがあります。男女別々のセンターがあり、使徒的独身の召し出しを受けたヌメラリーが家族生活を営んで います。一つの大きな家族であるオプス・デイは、信徒の霊的世話をするために、各センターに信徒ディレクターと二人の委員から成る委員会を置いています。 また信徒に特定の司牧的世話を提供するために、属人区の裁治権者はその司祭団の中から各センターのために一人の司祭を任命します。

属人区長以外のすべての役職は任期制です。

オプス・デイのすべての信者は、個人、ならびに家族の経済的必要を自らの仕事によって満たさなければなりません。また、オプス・デイの信者は自分で生計をたてるだけでなく、オプス・デイの司牧上の必要を満たすよう努力します。

この種の必要とは、おもに、オプス・デイの司祭の生活と形成の手段を支えるための経費、オプス・デイの事務所や地域代理の事務所に関わる諸経費、諸々の献 金や、重大な必要のあるときに与えられるヌメラリーやアソシエイトの親への援助などです。また一般信徒の義務として教区の教会も援助します。


カトリック教会の中で占める場所

オプス・デイが提供する霊的な形成は、地方教会が行う活動を補完するものです。オプス・デイに所属するカトリック信者は、司教区の信者であることに変わりはありません。

オプス・デイは1928年に創立されました。1941年にマドリッドの司教より認可を与えられ、1947年には聖座の認可を受けました。1982年には、カトリック教会の属人区として設立されました。

第2バチカン公か会議は、固有な司牧的使命を展開するために、属人区という法律上の組織を設置しました。属人区は、教会の位格的組織を構成します。属人区を構成する信徒と司祭は、属人区長のもと、属人区に固有な使命を行なうために有機的に協力します。

オプス・デイの活動は、属人区の信者に形成を与えることにあります。こうして、各々の信者は自分の置かれた教会と社会の中で、すべての人は聖性へと招かれているという理想を周囲の人々へ伝えるために、様々な使徒職の活動にたずさわります。

オプス・デイのメンバーが行なう使徒職は、他のカトリック信者と同じように、信者一人ひとりが教会と社会における自分の場で多様な使徒職活動を展開し、教 会の福音宣教を支え、まわりの人々に、誰もが日常生活を通して聖人になるよう招かれているというメッセージを広めます。オプス・デイの信者の使徒職は、神 の恩寵を得て、自分の所属している小教区及び各々の地方教会に生き生きとした力を与えます。その使徒的活動は、神学、哲学を中心としたあらゆる研修会、聖 体祭儀への参加、秘跡に頻繁に与ること、信仰から離れた環境へ福音を伝達すること、困っている人々を助け連帯を強める種々の活動、要理教育、司教区の各種 の組織との協力等に及びます。

オプス・デイの信者たちのこのような使徒職は属人区に与えられた固有な精神に従っておこなわれます。すなわち、仕事を中心とした日常生活の聖化を通して人々と社会を福音化するのです。

オプス・デイで権限を有する者は属人区のすべての信徒が教区の牧者たちといつも一致していくよう働きかけます。特に教区司教と司教協議会の指示や指針を良く知り、各自が個人的なつき合いを通して、あるいは、家庭や職場でそれらを実行するように働きかけます。

オプス・デイは全く霊的な性格のものですから、その信徒が立ち向かうべき現世的な事柄には一切口を挟みません。信徒各自がまったく自由に、自らの責任において活動します。

オプス・デイは現世的な事柄において各信徒の決定を尊重します。規約によると、オプス・デイの信者は専門職や社会教説や政治に関して、他のカトリック信者 と同じく、まったく自由に考え行動します。唯一の制限は、すべての信者に当てはまることですが、信仰と道徳に関する教会の教えに従うというです。属人区で 権限を有する者はこれら個人の自由に任されている事柄については、勧めを与えることさえ差し控えることになっています。


オプス・デイ属人区

属人区

教会法に規定されている属人区とは、第二バチカン公会議によって新しく準備された法形態のことです。「司祭の生活と役務に関する教令」(1965年12月 7日)10番が「種々の社会階層に応じて専門化された司牧活動が、地方、国家、大陸を段階として、たやすく行われるようにすべきである」と指摘しているよ うに、将来「特殊教区や属人区」などを設置することができると公会議は定めました。

公会議はキリストの教えとキリスト教的な生き方 を効果的に広める目的で、それに対応し得る優れた新しい法形態を求めていました。この法形態が確立され、歴史の中で各々の時代の要請に教会が応えてきたよ うに、現代社会の新たな要請に教会組織が応えることが可能になり、人類史の中での教会の使命がまた新たに反映されるようになりました。

現行の教会内の区分の仕方は大部分が地域によって分けられ、地域に結びついた管轄区域です。つまり、教会組織は信者の居住する区域によって分けられ、その区域の教会との絆によって教会全体との一致を保ちます。教区はその典型的なものです。

この他に、信者と教会区分との絆が地理的ではない基準、例えば、移民、職業や典礼(カトリック教会は地域的な習慣の違いなどから種々の典礼を認めている。 あるカトリック信者が洗礼を受けた時とは異なった典礼区域に移住した場合、その地域の教会に属さずに、地理的には別の場所にあっても自分の典礼の教会に属 す)、などによって定められる場合があります。軍属区や属人区の場合がこれに当たります。

既に述べたように第二バチカン公会議の発意による属人区は、一人の牧者(属人区長)と在俗司祭から成る司祭団、及び男女の一般信徒によって構成されています。属人区長は教皇に任命され、司教であってもなくても、裁治権をもって統治の任にあたります。

したがって、属人区は教会の位階制に属する組織です。言い換えれば、キリストがお任せになった使命を果たす目的で教会が設置する組織の一つですが、その具 体的な使命を果たすための霊的指導を目的としているので、その信徒は本人の居住する地方教会すなわち司教区に所属し続けます。

以上の特徴から見ても、属人区は修道会や一般に奉献生活の会と称される組織、また運動や信者の会とは明らかに異なるものであることが分かります。教会法は、それぞれの属人区が教会の一般法と固有な規約によって規定されると定めています。

属人区オプス・デイ

属人区として設置される以前から、オプス・デイは、信徒と司祭によって構成された国際的な規模の司牧と使徒職を推進する組織でした。その具体的な使命は、各自が仕事と日常生活において聖性を追求するという理想を広めることでした。

パウロ6世教皇とその後継者は、オプス・デイにその本質に合った最終的法形態を付与する可能性について検討することを決定なさいました。すなわち、公会議諸文書に照らして、オプス・デイを属人区として設置する可能性に関する検討です。

1969年には、聖座とオプス・デイが参加して、属人区をオプス・デイに適用する作業がはじまりました。1981年、適用のための作業が完了したので、聖座はオプス・デイが存在する教区の司教方二千名以上に報告書を送り、意見を要請しました。

このような経過を経た後、ヨハネ・パウロ2世教皇は1982年11月28日付け使徒憲章「ウット・シット(Ut sit)」によって国際的な規模を有する属人区オプス・デイを設置し、それを1983年3月19日に施行なさいました。教皇は、この文書と併せて属人区オ プス・デイの固有法、すなわち『規約』を公布なさいました。この『規約』は、元々創立者自身が生前に準備したものですが、新しい法律に適用させるために必 要最低限度の改訂を加えて作成されたものです。

教区との関係について

属人区オプス・デイは教会の司牧・位階制のひとつです。教区や属地区、代理区、軍属区などと同じく、属人区は教会全体に仕えるという使命を果たすために、固有な自立性と裁治権を備えています。

したがって、属人区オプス・デイは、司教省を通して直接教皇に従属しています。属人区長の権限は、属人区に固有な使命に関わる事柄全体に及びます。ただし、その権限は教区の信者に与える通常の司牧に関する教区司教の権限と調和したかたちで行使されます。

a) オプス・デイの信徒は属人区の使命に関する事柄すべて、具体的には、属人区への所属時に行った契約の性格を有する正式の宣言から生ずる特定の約束履行に関 して、完全に属人区長の権限下にあります。この約束はその性質から言って教区司教の権限には属しません。しかし、オプス・デイの信者は自分が居住する教区 の信者であることに変わりなく、他の信者が従うべき事柄については同じように教区司教の権限下にあります。

b) 教会の一般法とオプス・デイの固有法によって、属人区に入籍した助祭と司祭はすべての点において在俗司祭であり、完全に属人区長の権限下にあります。これ らの司祭は教区に属する司祭たちとの兄弟愛を深めるよう努力し、聖職者のための一般的規律及び被選挙権をもっています。教区司教は地域総代理の事前の許可 を得た上で、属人区の司祭に教区の主任司祭や裁判官などの役目やその他の教会職を任せることができます。この種の仕事を任せられた属人区の司祭はそれにつ いては教区司教に対してのみ責任を負い、その指針に従って仕事を果たさなければなりません。

オプス・デイの『規約』(第4部第5章)は、特定の使命を果たすために働いている属人区が司教区との調和ある連帯関係を築く基準を定めています。下記のような特徴があります。

a) 教区司教が事前に同意しない限り、オプス・デイは属人区としての使徒職をその教区内では行いません。また、センターを設置することもありません。

b) 属人区の教会を設置する時や、司教区の既存の教会(小教区)がオプス・デイに委託されるときには、教区司教と属人区長あるいは該当の地域総代理との間で協定を結びます。これらの教会は在俗司祭に委託された教会に関する教区の規定に従います。

c) 属人区の各地域で権限を有する者は、属人区が司牧と使徒職を行っている教区司教との関係を維持します。また、司教協議会で役職に就いている司教および協議会の各部署との関係についても同じことが言えます。


オプス・デイに関する法的規定

a)一般法規定
1. オプス・デイは属人区(https://opusdei.org/sec.php?s=1046https://opusdei.org/sec.php?s=1046)として、普遍教会における教会的区割りに関する法律によって規定される。さらに、1983年発布の教会法(英語版:https://www.vatican.va/archive/ENG1104/_INDEX.HTM)294~297条には、属人区に関する基本的規定が含まれている。聖座において属人区は、他の在俗位階制組織(教区、高位区、属区など)と同様、司教省の管轄下にある。(英語版 https://www.vatican.va/roman_curia/congregations/index.htm参照)

b) ローマ教皇による固有法の規定
1. オプス・デイは、ヨハネ・パウロ二世によって、1982年11月28日の使徒憲章Ut sitの公布により(https://opusdei.org/art.php?p=28955)、世界的規模の属人区として設置された。(http:/prelaturaspersonales.org/スペイン語)

2. 使徒憲章Ut sitによれば、オプス・デイは、ヨハネ・パウロ二世がこの使徒憲章とともに与えたオプス・デイに固有の規約(スペイン語:https://opusdei.org/article/estatutos-del-opus-dei/) によっても規定される。

3. オプス・デイは、一人の属人区長(https://opusdei.org/art.php?p=28963)、自己の司祭団、男女の信徒から成る。オプス・デイに所属する信徒は、固有法に基づき、属人区に固有の使命に関して属人区長の権限下にある。すべてのカトリック信徒と同様、所属する教区の司教の指示に従う。(https://opusdei.org/art.php?p=28968

4. 属人区の司祭団を構成する司祭たちは、属人区長に完全に従属する。それぞれの地域の司教と教区の司牧と一致しつつ、属人区長から与えられた司牧的役割を果たす。属人区はその経済的維持の責任を負う。

c)属人区長の固有法規定と統治権の遂行
1. 属人区長の権威は、教会法135条に言及されている三つの統治権による。すなわち、立法権(自身の権限に関する一般法や通達を発布する)、行政権と司法権である。
https://prelaturaspersonales.org/el-ejercicio-de-la-potestad-de-gobierno-en-las-prelaturas-personales-2/スペイン語)

2. 属人区長は、属人区の固有法を実行するための規定を発布する権利をもっている。また、行政権や行政権も実行する。機関誌ロマーナ(https://es.romana.org)において、属人区長の教令や通常の活動の要約が発表される。司法権は、教会の規定に従って設立された裁判所において、実行される。(https://opusdei.org/article/10-el-prelado-y-su-jurisdiccion/スペイン語)