10.十二使徒たちは誰ですか?

新約聖書には、この12人のグループは不変ないし固定したグループとして登場する。

新約聖書には、この12人のグループは不変ないし固定したグループとして登場する。その名前は以下の通り。「シモンにはペトロという名を付けられた。ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟ヨハネ、この二人にはボアネルゲス、すなわち、『雷の子ら』という名を付けられた。アンデレ、フィリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルファイの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、それに、イスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。」(マルコ3.16-19)他の福音書や使徒行録に出てくるリストにも、ほとんど違いはない。タダイがユダと呼ばれるが、それは重要ではない。つまり、同名の人物がいるため(シモン、ヤコブ)、父の名に由来する名や2番目の名前で区別しているのである。つまり、ユダ・タダイである。彼らの大多数の福音宣教について、使徒言行録に書かれていないという事実は意義深い。それは早期に散り散りになったことを示しているが、にもかかわらず使徒たちの名前についての言い伝えは非常に安定しているのである。

新約聖書には、この12人のグループは不変ないし固定したグループとして登場する。

「イエスが山に登って、これと思う人々を呼び寄せられると、彼らはそばに集まって来た。そこで、十二人を任命し、使徒と名付けられた。彼らを自分のそばに置くため、また、派遣して宣教させ、悪霊を追い出す権能を持たせるためであった。」(マルコ 3.13-15)と聖マルコは言った。そうして、イエスのイニシアティブと十二使徒の役割を示した。つまり、彼らはイエスと共にいて、イエスと同じ権能で宣教するため遣わされた。他の福音史家−聖マタイ(10.1)と聖ルカ(6.12-13)−も同様の表現をしている。福音書の中で、彼らがどのようにイエスにお供し、イエスの使命に参与し、特別な教えを受け取ったかを見ることができる。福音史家たちは、使徒たちがしばしば主の言葉が理解できなかったことや試みの時に主を見捨てたことを隠さない。しかし、イエスが彼らに与えた新たな信頼も同時に示す。

選ばれたものの数が12であることは意味深長である。この数字はイスラエルの12部族を示しており(マタイ 19.28, ルカ 22.30など参照)、当時一般的だった他の数字ではない(衆議会議員数は71名、クムランの委員は15ないし16名、会堂での儀式に必要な人数は10名であった)

選ばれたものの数が12であることは意味深長である。この数字はイスラエルの12部族を示しており(マタイ 19.28, ルカ 22.30など参照)、当時一般的だった他の数字ではない(衆議会議員数は71名、クムランの委員は15ないし16名、会堂での儀式に必要な人数は10名であった)。ここから、イエスの望んでいたことは土地、儀式、民族に基盤をもつイスラエルの再興ではなく(使徒言行録 1.6)、地上に神の国を創設することであったことが明らかとなる。聖霊降臨の前にマティアがイスカリオテのユダの代わりとなり、12人としたこともその ことを伺わせる。


参考書: J. GNILKA, Jesús de Nazaret, Herder, Barcelona 1993; A. PUIG, Jesús. Una biografía, Destino, Barcelona 2005; G. SEGALLA, Panoramas del Nuevo Testamento, Verbo Divino, Estella 2004.